オルメサルタン関連腸炎は顕微鏡的大腸炎の一種なのか?
近年、オルメサルタン関連腸炎(OAE) が注目されているようです。一方で、顕微鏡的大腸炎という疾患概念もあります。両者の関連を調べてみました。結論としては両者の疾患概念としての関連に言及した論文はないものの、恐らくOAEの多くは顕微鏡的大腸炎に含まれる、ただし顕微鏡的大腸炎の中でも重症のものである、と考えました。
以下、顕微鏡的大腸炎とオルメサルタン関連腸炎に関して調べたことをまとめます。
顕微鏡的大腸炎
疾患概念
(United European Gastroenterol J. 2021 Feb 22;9(1):13–37. )
危険因子
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年齢・性別:中年~ 高齢、女性に多い
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喫煙:水様下痢の頻度を高め、臨床的寛解達成の確率を下げる
Mayo Clin Proc. May 2021;96(5):1302-1308
症状
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主症状:慢性の水様・非血性下痢 (84~100%)
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付随症状:便意切迫感 (55%)、夜間排便(35.3%)、便失禁(26.3%)のほか、体重減少や腹部膨満を呈することも
United European Gastroenterol J. 2021 Feb 22;9(1):13–37.
診断
United European Gastroenterol J. 2021 Feb 22;9(1):13–37.
オルメサルタン関連腸炎
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重症水様下痢により、12kgもの体重減少と急性腎不全を呈した症例報告あり (〔日内会誌 104:1167~1174,2015)
OAEの病理組織像
→病理組織像から考えると、OAEの2/3はLC、2割はCCということかもしれません(ただし、CCや LCの病理診断基準を満たしているかは記述がありませんでした)
2022/03/03 語句修正